第二十七話 以後、お見知りおきを

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 滝川さんは、さっそく火縄銃を撃つ準備を始めたが、 「しかし、なんだ。……お前もいろいろあるみたいだな」  準備をしながら、そんなことを言った。 「え? なにがです?」 「あんな髪の色の娘と、二人旅とは。よほどの事情とみたぜ」 「…………」 「ま、詮索はしないがな。人にはそれぞれ事情があるだろうし」 「……ええ、まあ」  俺もまた、鉄砲の準備をしながら、 「滝川さんも、いろいろ事情があるんでしょう? あかりちゃんが言っていましたよ。若いころは、天下一の侍大将になってみせる、っていうのが口癖だったとか」 「あいつ……妙なことを言いやがって」  滝川さんは、照れたような、困ったような笑みを浮かべた。  それから彼は、かぶりを振った。 「若いころのタワゴトだ。誰だってあるだろ? 自分がその気になれば、天下のすべてを動かせるって、思い上がっている時代がよ」 「……まあ」 「そんな時代だっただけさ。……いや、悪い。お前はむしろ、これからがその時代だったな。はっはっは――」  滝川さんが、笑う。  すでに銃を撃つ用意はできているようだ。  俺も、準備を終えた。いつでもすぐに弾を撃てる。  さあ、イノシシを探そう。そんなに遠くにはいないはずだ――  と思ったそのときだ。 「ひゃあーッ!!」     
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