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悲鳴があがった。
いまのは……八兵衛翁の声だ!?
「なんだ!?」
「いくぞ、山田!」
俺と滝川さんは銃を構えて疾走した。
村のあぜ道まで、戻ってきた。
するとそこには、カンナ、あかりちゃん。
そして腰を抜かしているのか、地面に座り込んでいる八兵衛翁の3人と――
先ほどのイノシシが、いたのである。
カンナたちに向かって、いままさに走り出そうとしているイノシシ。
「こいつ、こんなところにいるなんて!」
「撃つぞ、山田!」
滝川さんが銃を構える。
しかし、遅かった。
イノシシは、なんとあかりちゃんのほうへと突っ走っていく。
俺たち、イノシシ、あかりちゃんが一直線に並ぶ形となった。
まずい。位置的に、ここで発砲してもイノシシの尻にしか弾は当たらない。
それで殺せるか? しかもしくじったらあかりちゃんに当たるかもしれない……!
滝川さんも、その事実に気付いたらしい。「ちっ」と激しく舌打ちする。
どうする? 一か八か、弾を撃つか――
そのときだ。
「危ないっっ!!」
カンナが、あかりちゃんに向かってその肉体を飛び込ませた。
その結果――間一髪! 直前まであかりちゃんがいた空間を、イノシシが切り裂いていく。
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