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シガル衆に、なまず屋長兵衛、カンナを襲ったならず者たち――
だけど。
実の両親や剣次叔父さん。
父ちゃんや母ちゃんや伊与。大樹村の人たち。
それに藤吉郎さんにカンナに、滝川さん、あかりちゃん、八兵衛翁――
いろんな人たちの顔が、浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
「ねえ、弥五郎。……弥五郎は、悪いやつらを倒す、天下を平和にする。そんな商人になりたいって言いよったよね」
「こそばゆい響きだけどな」
「そんなことなかよ。……弥五郎。あたしもそうなりたい」
「え……」
「あたしは、あたしが大好きなひとたちのために戦えるような商人になりたい。そう思う。……だから、弥五郎」
カンナが、気持ち高めの声を出す。
横を見て、その顔を見ると、彼女はわずかに目を細めていた。
「あたし、これからも頑張るけん。……人間をもっと信じたいから」
その目には、確かに光が灯っていた。
俺は、大きくうなずいた。
翌日。
目を覚ますと、もう昼だった。
イノシシとの戦いで、けっこう疲れていたのかもしれない。
俺は、大きくあくびをしながら上体を起こした。
……ん? なんか家の外が騒がしいな。
はてなと思って、家を出てみると――げっ!?
10数人もの人たちが、わいわいと集まっている!?
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