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「佐々さん。この早合、じつは俺が作ったものなんです。どうでしょうか。この早合、たくさん作ったら、買い上げてくれますか?」
「た、たくさん。……どれくらいだ?」
「お望みなら、早合の海にもぐれるくらいに」
「!!(きらきらきらきら)」
佐々さんの瞳が、キラキラと輝きはじめた。
よっぽど早合に興味をもったんだな。
……直後。
佐々さんは、かぶりを振った。
「海ほどには、いらない」
「いや、それは。まあ言葉のアヤで」
「しかし。……さしあたって、50は欲しい」
「50!」
それだけ作れば、佐々さんは買ってくれるのか!
「じ、じゃあその早合、1発いくらで買ってくれますか?」
「…………。鉄砲は、1発撃つのに180文の費用がかかる」
佐々さんは、そう言った。
「弾、火薬、火縄、などなどを合わせた金額がそれだ。……そして早合ならば、通常の倍の速度で鉄砲を撃てるという。ならば価格も倍。すなわち早合の価格は360文ではどうか」
「ってことは、1発360文の早合が50発で、ええと――」
「18000文。18貫やね」
横からさらっとカンナが言った。
計算早いな、おい。
だが――それで驚いた。18貫か……!
けっこうな金額だが、その金額で取引して、さて利益は出るか?
俺はカンナに、ひそひそ声で相談した。
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