第二十九話 加工貿易

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「佐々さん。この早合、じつは俺が作ったものなんです。どうでしょうか。この早合、たくさん作ったら、買い上げてくれますか?」 「た、たくさん。……どれくらいだ?」 「お望みなら、早合の海にもぐれるくらいに」 「!!(きらきらきらきら)」  佐々さんの瞳が、キラキラと輝きはじめた。  よっぽど早合に興味をもったんだな。  ……直後。  佐々さんは、かぶりを振った。 「海ほどには、いらない」 「いや、それは。まあ言葉のアヤで」 「しかし。……さしあたって、50は欲しい」 「50!」  それだけ作れば、佐々さんは買ってくれるのか! 「じ、じゃあその早合、1発いくらで買ってくれますか?」 「…………。鉄砲は、1発撃つのに180文の費用がかかる」  佐々さんは、そう言った。 「弾、火薬、火縄、などなどを合わせた金額がそれだ。……そして早合ならば、通常の倍の速度で鉄砲を撃てるという。ならば価格も倍。すなわち早合の価格は360文ではどうか」 「ってことは、1発360文の早合が50発で、ええと――」 「18000文。18貫やね」  横からさらっとカンナが言った。  計算早いな、おい。  だが――それで驚いた。18貫か……!  けっこうな金額だが、その金額で取引して、さて利益は出るか?    俺はカンナに、ひそひそ声で相談した。     
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