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早合を作るには、鉛弾、火薬、漆、紙が必要だということ。
鉄砲を1発撃つ弾や火薬の代金は180文だということ。
そこに、早合のための漆や紙の代金を加えるのだが、それで果たしてこの商売は黒字になるか、ということ。
カンナはちょっと考えていたが、
「早合に使う分の漆や紙の量は、そんなに多くなかっちゃろ?」
「ああ」
俺はうなずいた。
かつて、大樹村から離れた直後、早合を作ったときのことを思い出す。
あのときは、わずかな紙と漆に、鉛弾と火薬を用いて、早合7発を作り出せたのだ。
「なら、漆と紙の費用はそんなにはかからんよ。早合1発360文は、充分に利益が出ると思う」
「そうか! よし、決まりだ」
俺は手を叩き、佐々さんのほうへと向き直ると、
「それではこのお仕事、お引き受けいたします」
と答えた。そして、
「10日後に、またここで会うというのはいかがですか? 早合50を作ってきますので」
「……(きらきらきらきら)」
「……了解ってことですね? それじゃ、それでいきます。早合50発、作ります!」
俺、カンナ、滝川さん、あかりちゃんの4人は、津島へと戻っていく。
俺の胸は野望に燃えていた。
作ってやるぞ、早合を!
儲けてやるぞ、お金を!
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