第二十九話 加工貿易

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 そして俺は、歩きながら、これだ、とも思っていた。  すなわち、今後の商売のスタンスのひとつとして。  『材料を集めて武器や道具に加工して、それを販売する』――  一種の加工貿易。これを今後もやっていこうと考えたんだ。  かつて、薪を炭にして高価値にしたように。  炭と海藻を混ぜて、炭団(たどん)にしたように。 「だけど弥五郎、そんなに何度も使える手じゃなかよ」  カンナが、横から言った。 「佐々さんはだいぶん鉄砲に詳しいみたいやし、早合を50買って、自分で研究して、いずれは自作してしまうかもしれん。そうしたら、もう早合は売れんばい」 「もちろん、それは分かっているさ。俺も加工の商売だけで儲けようとは思っていない。ただ儲け方のひとつとして、今回みたいに材料を集めて、もの作りして売るってのは、アリだと思ったのさ」 「山田には、確かに向いているだろうな」  滝川さんが、大きくうなずいた。 「山田はこれから、早合を作るんだろう? それならオレにも手伝わせてくれ。どっちみちお前から早合の作り方を教わりたいからな。……その約束、覚えているか?」     
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