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そして俺は、歩きながら、これだ、とも思っていた。
すなわち、今後の商売のスタンスのひとつとして。
『材料を集めて武器や道具に加工して、それを販売する』――
一種の加工貿易。これを今後もやっていこうと考えたんだ。
かつて、薪を炭にして高価値にしたように。
炭と海藻を混ぜて、炭団にしたように。
「だけど弥五郎、そんなに何度も使える手じゃなかよ」
カンナが、横から言った。
「佐々さんはだいぶん鉄砲に詳しいみたいやし、早合を50買って、自分で研究して、いずれは自作してしまうかもしれん。そうしたら、もう早合は売れんばい」
「もちろん、それは分かっているさ。俺も加工の商売だけで儲けようとは思っていない。ただ儲け方のひとつとして、今回みたいに材料を集めて、もの作りして売るってのは、アリだと思ったのさ」
「山田には、確かに向いているだろうな」
滝川さんが、大きくうなずいた。
「山田はこれから、早合を作るんだろう? それならオレにも手伝わせてくれ。どっちみちお前から早合の作り方を教わりたいからな。……その約束、覚えているか?」
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