第二十九話 加工貿易

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「もちろん、覚えていますよ。早合作り、一緒にやりましょう。――あかりちゃん、早合作りの作業は、『もちづきや』の部屋でやってもいいかい?」 「もちろんいいですよ。宿代さえいただければ」 「ち、ちゃっかりしてるなあ! ……友達価格じゃだめ?」 「うふっ。お兄さんとはお友達ですけど。……それはそれ、これはこれ、ということで。わたしたちも生活に余裕があるわけじゃないので、ごめんなさい」 「弥五郎、見習っときーよ。商売ってのはこういうことばい」 「その通りだ。山田、お前の負けだよ!」  げらげらと、滝川さんは大笑いした。  あかりちゃんもカンナも、俺も笑った。  濃尾平野の空は青い。笑い声が、溶けていくような美しさだった。  俺たちは津島に戻ると、さっそく早合の素材を買い集めることにした。  さすがは商都・津島。いろんなものが売られている。材料は揃えられるようだ。  早合を作るには、鉛弾、黒色火薬、漆、紙が必要だ。  鉛弾7、黒色火薬1、漆1、紙1。  これで早合が7個作れる。  で、いまの状況はこうだ……。 《山田弥五郎俊明 銭 5貫760文》 <最終目標  5000貫を貯める> <直近目標  佐々成政に早合50を売る>  商品  ・火縄銃   1      ・陶器    3      ・炭    20      ・早合    3      ・小型土鍋  1     
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