第二十九話 加工貿易

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     ・米    15      ・鉛弾   49      ・漆     7      ・紙     7  あと必要なのは、黒色火薬だが―― 「山田、火薬はどうするんだ? あれは袋入りのものひとつで、980文もするぞ」  そうなのだ。  黒色火薬は、なかなか高いのだ。  この時代、火薬は貴重品だから仕方ないが。  しかし、黒色火薬1で980文かあ。 「だから黒色火薬7を揃えるには――ええと」 「6貫860文がいるばい。お金がぜーんぜん足らん」 「こら、蜂楽屋(ほうらくや)他人事(ひとごと)みたいに言うな。どういうことだ。お前なら、金が不足することくらい分かっていただろう」 「滝川さん、大丈夫大丈夫。なーんも焦ることなか」  カンナは、ニコニコ笑いつつ言った。 「あたしらは米や炭を持っとるやん。それを売れば早合の材料費くらい、なんちゃあない。尾張とか美濃とか、とにかくこのあたり一帯の米や炭の相場を調べて、高値で取引されとるところを見つけるとよ。そこに持っていって米と炭を売却すれば、火薬の代金くらいは揃えられるくさ――」  そのときだった。  俺たちの背後を、商人らしき人たちが通り過ぎていったのだが――     
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