4727人が本棚に入れています
本棚に追加
第三十話 和田惟政登場
どうしたもんだろう。
考える、俺。
――数秒間思考したのち、発言する。
「いっそ作るか」
「……作る?」
カンナが首をかしげた。
俺はうなずく。
「火薬1は980文だけど、自分たちで材料を買い集めて作れば、もっと安く作れるはずだ」
「そ、それはそうだが……しかし山田。火薬まで自作する気か? そんなことができるのか!?」
「不可能じゃないですよ」
俺は、さらりと言った。
「世の中にあるものすべて、自然物でなければ、誰かが作っているからこの世にあるのです」
「そりゃ理屈はそうだが」
「火薬は」
と、俺は解説を開始する。
「火薬は、硝石、炭、硫黄を一定の割合で混ぜればできるんです。――硝石は7.5割、炭を1.5割、そして硫黄は1割。これらを混ぜ合わせることで黒色火薬ができます。自作ならば手間はかかりますが、材料代だけで済むので、買うよりは安く火薬を手に入れることができますよ」
「……弥五郎ってほんと、いろいろよう知っとうよね」
「まったくだ。その年齢としで、よくもまあ。いったいどこで学んだんだ……」
ふたりは感心した眼まなこである。
なんか、ちょっと照れ臭い。
ともかく俺は話を続けた。
最初のコメントを投稿しよう!