4727人が本棚に入れています
本棚に追加
「つまりだ。火薬1を作るとなると、ものすごくおおざっぱに考えて、硝石0.7、炭0.2、硫黄0.1が必要になる」
「なら、火薬7を作るのに必要な材料の量は、硝石が4.9、炭が1.4、硫黄が0.7ってことやね」
カンナがやはり、すっと計算した。
「炭は、在庫の中にあるけん、買わんでよかろ?」
「硫黄と硝石だ。まずはそれを買い集めたいな」
「硫黄はともかく、硝石って売りよるかね? あれは輸入モンやん。日本ではほとんど取れんから、商人が命がけで明(中国)とかシャム(タイ)とかに買い出しにいきよるよ」
カンナの言う通りだった。
この時代、いちおう硝石の国産も行われてはいるんだけど、その数はものすごく少ない。
だから手に入るのかどうか分からなかったが――
「裏路地のほうにある火薬屋なら、扱ってるかもしれねえぞ」
滝川さんが、ふいに言った。
……火薬屋?
「津島の町の、裏の裏のそのまた裏にある店だ。俺もふだん、そこで鉄砲用の火薬を買っているんだが……まあ、いわゆる闇商人だな。たぶん硝石も扱ってるんじゃねえか? 原材料まで買ったことはないから知らんが……」
「とにかく、行ってみましょう。案内してくれますか、その裏のお店に」
というわけで、俺とカンナは滝川さんに先導されて裏路地のお店に向かう。
最初のコメントを投稿しよう!