第三十話 和田惟政登場

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 そのお店は、まるで妖怪が営んでいるかのように真っ暗で、老店主もちょっと怖かった。 「ひ、ひ、ひ。タキガワさん、また火薬を買いにきたネ? ひ、ひ、ひ」  発音が少しおかしい。  もしかして明(中国)の人だろうか?  男か女かも分からない。ちょっと変な笑い方をする人でもある。 「ああ、違う違う。今回は火薬じゃなくて硝石と硫黄が欲しいんだが」 「ひ、ひ、ひ」 「……あるか?」 「ひ、ひ、ひ」  どうも、ケッタイな笑い方をする人物である。  そのケッタイさんは、さらにニタニタ笑い、 「あるよ……」  と、言った。 「ほ、ほんとですか?」  俺は思わず食いついた。  ケッタイさんは、かっくん。  人形のようにうなずいた。 「少しだけ、お高いけどね。……」  そう言って彼(いや、彼女……?)は、指の先ほどの、しかし真っ白な硝石を俺たちに見せてくれた。  ……これだ。間違いない。硝石だ!  老人は言った。  硝石はひとつ260文、袋に入った硫黄1が35文だと。  俺はそれを、必要な分――すなわち、硝石5と硫黄1を購入したのである。 《山田弥五郎俊明 銭 1貫142文》 <最終目標  5000貫を貯める> <直近目標  佐々成政に早合50を売る>  商品  ・火縄銃   1      ・陶器    3      ・炭    20     
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