第三十話 和田惟政登場

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     ・炭    18      ・早合   52      ・小型土鍋  1      ・米    15  10日分の宿泊費が、400文かかった。  残りのお金があまりない。ちょっと不安にはなる。  とはいえ、早合50が完成したのはよかった! 「よし、それじゃ海老原村にいこう!」 「おう!」 「うん!」  俺のセリフに、滝川さんとカンナが威勢よく首肯した。 「来たか」  約束通り、佐々成政さんは村で待っていた。  隣には馬もいて、荷駄がくくりつけられていた。 「早合50。用意してきたか?」 「ええ、この通りですよ」  俺は馬に載せていた袋から、早合を取り出し、佐々さんに見せる。  佐々さんは早合をしげしげと眺め、やがてそのうちのひとつを手に取った。  俺は改めて、佐々さんに使い方を説明する。  彼は何度もうなずいた。そして佐々さんは馬に載せていた荷物の中から火縄銃を取り出すと、それを用いて、実際に発射したのである。  ――ぱぁぁあん!  銃声が、村中に響く。  彼方の木々がざわめいて、森の中からバサバサバサ――鳥たちがいっせいに飛びたった。 「……なるほど。これでいい」  佐々さんは、わずかに口許をゆるめた。 「いい品物だ、山田弥五郎」     
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