第三十話 和田惟政登場

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「若いくせに、やたら無口でよ。……まあいいけどな。オレはもう、会うこともなさそうだし」 「はは……」  俺は愛想笑いを返す。  会うこともなさそうどころか、史実だったら同じ織田家の同僚になるんだよな。  それにしても、滝川一益と佐々成政。織田家の有名武将ふたりと知り合いになるとはなあ。  それから1時間後。  俺たちは津島に戻った。 「じゃあまたな、山田」 「はい、それじゃまた」 『もちづきや』の前で、俺とカンナは滝川さんと別れる――  と、そのときであった。 「見つけたぞ、滝川久助」  重々しい声が聞こえてきた。  俺たち3人は、振り向く。  そこには。  きれいな月代を剃ったひとりの男が立っている。  スキのない物腰をした、きりっと締まった侍だった。  滝川さんは、彼を見て驚愕の表情を作った。 「お、お前は、まさか――和田伝右衛門惟政!? どうしてここに!?」
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