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「若いくせに、やたら無口でよ。……まあいいけどな。オレはもう、会うこともなさそうだし」
「はは……」
俺は愛想笑いを返す。
会うこともなさそうどころか、史実だったら同じ織田家の同僚になるんだよな。
それにしても、滝川一益と佐々成政。織田家の有名武将ふたりと知り合いになるとはなあ。
それから1時間後。
俺たちは津島に戻った。
「じゃあまたな、山田」
「はい、それじゃまた」
『もちづきや』の前で、俺とカンナは滝川さんと別れる――
と、そのときであった。
「見つけたぞ、滝川久助」
重々しい声が聞こえてきた。
俺たち3人は、振り向く。
そこには。
きれいな月代を剃ったひとりの男が立っている。
スキのない物腰をした、きりっと締まった侍だった。
滝川さんは、彼を見て驚愕の表情を作った。
「お、お前は、まさか――和田伝右衛門惟政!? どうしてここに!?」
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