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「久助……」
和田さんの、悲しげなうめきがあたりに響いた。
10分後。
俺とカンナと和田さんは、『もちづきや』の中にいた。
まあ、なにも外で突っ立っている必要はない。
とりあえず中に入ろうじゃないか、ということだ。
《山田弥五郎俊明 銭 18貫742文》
<最終目標 5000貫を貯める>
商品 ・火縄銃 1
・陶器 3
・炭 17
・早合 2
・小型土鍋 1
・米 15
炭1を、『もちづきや』にプレゼントした。
場所の使用代と、あとはこの炭を使ってお湯でも沸かしてくれ、と頼んだのだ。
「――久助と自分はな、甲賀でいっしょに忍術の修行をした仲なのだ」
ぽつりぽつりと、和田さんは話し始めた。
「そうだ。もう何年も前になるかな。甲賀の里にふらりと訪れたあいつは、我が父に必死に頼み込み、忍びとして弟子入りすることになった。ふつうアカの他人が里で修行を積むのは難しいが、あいつの父親と我が父が、旧知の仲であったのが幸いした」
滝川さんが忍術に詳しかったのは、そういう過去があったからなのか。
史実でも、滝川一益は甲賀忍者だったという説があるけど。
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