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商家の前で、俺は思わず叫んでいた。
前回、硝石を買ったお店におもむくと、なんと品切れしていたのだ。
「ひ、ひ、ひ。ごめんねえ。やっぱりあれは貴重品だからねえ、なかなか、ねえ。ひ、ひ、ひ」
……参ったな。
これじゃ火薬が作れないぞ。
装備している革袋の中に、わずかな火薬はあるんだけど、これだけじゃ焙烙玉は作れないし、うーん。
ふつうに火薬を買うか? でも、あっちだと高いんだよなあ。
悩みながら歩いていると――どんっ。
「おっと!」「わっ、すみません」
誰かにぶつかった。
反射的に謝りつつ、顔を上げると、
「山田!」「滝川さん!」
なんと相手は、立ち去ったはずの滝川さんだったのだ。
それから俺は、和田さんから引き受けた仕事のことを話した。
「そうか、伝右衛門のための焙烙玉か。で、硝石がない、と。……なるほどなあ」
滝川さんは、何度もうなずき、
「それなら、オレが持っている火薬を少し分けてやろうか? 大した量じゃないが、いまお前が持っている分と合わせりゃ、焙烙玉1発分の量になるだろ」
「え? い、いいんですか!?」
「ああ。しばらく鉄砲を使うこともなさそうだしな」
「あ、ありがとうございます。おいくらですか?」
「いらねえよ、金なんて」
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