第六話 覚醒のとき

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 村人たちは石を投げ、なお抵抗を続けている。  だが、敵が小屋まで攻めてくるのは時間の問題だった。 「おおい、集まれやい。ここだ、ここに女とガキがいるぞぉ」 「連れていけ、連れていけ! けっへへへ……!」 「女に舌を噛ませるなよ。生け捕りにするんだ!」  野盗集団の下卑た会話が、ついにここまで聞こえてきた。  ……ちくしょう!  俺は思わず、歯ぎしりした。なんとかしたい。なんとかしないといけない。  このままだと俺は殺される。あるいは敵にさらわれて、死よりも辛い世界にゆくだろう。  いや、俺だけじゃない。伊与も、父ちゃんも母ちゃんも、村のみんなも――  ちくしょう、強くありさえすれば!!  今日このときほど、そう思ったことはなかった。  強くありさえすれば、この人でなしどもをブッ倒せる。  強くありさえすれば、自分を守れる。家族も仲間も守れる。  そうだ、強くありさえすれば、俺だって! ……俺だって!!  このクソみたいな現実を、すべて吹っ飛ばしてやれるのに!!  ……その瞬間だった。 【そうだ、俊明! 思い出せ、お前の能力を!!】 「な、なに!?」  ふいに、声が。  そう、伊与と女性武将について話した直後に聞こえたあの声が、俺の頭を駆け巡ったのだ。     
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