第六話 覚醒のとき

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 袋を開く。中にはまさに、鉄砲を撃つための黒色火薬が入っていた。  欲しかったのはこれだ。  俺はそれを受け取ると、小屋の中を一度ぐるりと見回した。  散弾用の弾丸を作っている暇はない。床に落ちている小石と砂をかき集めて代用する。  フェルトは、小屋にある動物の毛皮――これなんの毛皮だ? まあいい、こいつが使える。  火薬は父ちゃんから貰ったものを詰める。プラスチックケースは、小屋の中にある紙で代用するしかない。これを薬きょうにして、油には漆を用いれば――よし、いけるはずだ!  俺は材料をかき集め、みるみる散弾を作りあげていく。  ――10年ぶりだ。能力を発揮するのは。  そう、武器を作るのは……! 「やつらが来たぞ!」  村人のひとりが叫んだ。  その通り、シガル衆が、すでに小屋の近くにまで迫ってきていた。  村人たちは―― 「どうするんだよ、もう逃げられんぞ!」 「弥五郎はなにをやっとるんだ!?」 「おい、もう降参しよう!」  村人たちは、無残なほどに混乱していた。  もはや団結はなかった。  その場に突っ伏し、念仏を唱え出す者さえいたのだ。 「弥五郎……!」  伊与の声が聞こえた。  人生の終焉を覚悟したような、悲痛な声音。  だが、俺は。村人たちの絶望とは裏腹に――     
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