第十五話 藤吉郎登場

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 村についたときは、もう夜だったため、その日はもう眠ることにする。  藤吉郎には、村の空き家に宿泊してもらった。  そして、翌日。俺たち四人は、改めて藤吉郎と向かい合う。  父ちゃんは言った。 「先ほど、村衆と話をして参りましたが、炭を那古野城に売る話はまとまりました」 「ほう、大慶。いや、ご苦労じゃったのう、牛松どの」 「いえいえ。……それで、合議で決めましたが、炭のお値段は、炭1束につき23文となりまして」 「それは安い! だが、その値段で大樹村は儲かるのか?」 「あまり儲かりませんなあ」  父ちゃんは苦笑しながら、そこは正直に言った。  そりゃそうだ。普段、炭1につき60文で販売している大樹村なのだから、23文は出血だ。 「しかし今後も末長いお付き合いになることを見込んで、破格のお値段にさせていただきました」 「偉い、牛松どの。偉い、大樹村。汝らの器は尾張一、いや天下一じゃあ!」  藤吉郎は大げさに手を叩き、満面の笑みを浮かべた。 「ところで、村にある炭はいかほどかの?」 「いや、それが。……なにぶんこれから冬になるので、村でも炭は必要です」 「そりゃ、そうじゃの」 「ですので、いま那古野にお分けできる炭は、どれほど捻出しても100束といったところで」     
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