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「100束かあ。……できれば、炭500はここで調達していきたかったが」
「500束。そんなにたくさんは、とても」
「そのようだのう。他の村も回るしかないかのう……」
藤吉郎は腕を組む。父ちゃんも眉宇を険しくさせた。
うーん、もったいないよなあ。せっかく那古野城とパイプができたんだから、もっと繋がりを深くして、今後も大樹村を栄えさせたい。織田家がこれから伸びるのが分かっている俺としては、なおさらそう思う。そのためには、藤吉郎の求める炭の量を提供しなきゃいけないんだけど――
……いやいや。
この人と関わると、歴史を変えるかもしれないと思ったばかりじゃないか。
だけど……父ちゃんの困り顔を見ていると、なんとかしてやりたくなるな。
村のためでもあるし……。
……ああ、もう。仕方ないな!
炭を秀吉に売るくらい、なんだ!
俺は心を決め、声をあげた。
「藤吉郎さま」
「さま、はよしてくれ。わしゃただの小者じゃぞ」
「それなら、藤吉郎さん。……炭500の件ですが、俺に考えがあります」
「ほほう? 炭団を作り出した息子どのがか? ……ええと、汝われァ、名前はなんと……」
「弥五郎と申します」
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