第十六話 取引成立

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 このとき中央部分だけは空けておく。その空けた部分には、また裏返し瓦を1枚だけ載せる。 「表向き瓦の上に裏返し瓦を載せることで、瓦の間に隙間ができます。この隙間が大事なのです。最終的に、この隙間部分が通気口になり、空気を取り込むことになります」 「――ほほう」 「そしてこの瓦たちの上に、また表向きの瓦を両脇に積み上げていきます。これはストーブの壁になる瓦になります。このとき先ほど載せた通気口用の瓦が不安定になるので、通気口以外の隙間は石などで埋めてやると全体が安定します」  ここまで作れば、もはやできたも同然だ。  積んだ瓦の奥に、巨大な石を置く。  石がなければ泥の塊でもいい。とにかく壁を作ってやるのだ。  で、最後に、積み重ねた瓦の手前側に瓦を複数枚積んでやる。  この瓦は少しずつ、奥に向かってずらすように積み上げると、炎の勢いが増していくので効果が上がる。 「これで瓦ストーブは出来上がりです。……これならば、少ない炭や薪でかなりの火力を出すことができますし、瓦さえあればすぐに作れますので、長期に野営するときなど戦場でも役に立ちます」     
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