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あとで村人みんなで分ける、大事なお金だ。しっかりと守らないとな。
「それじゃ、弥五郎。炭100はわしが受け取るでよ」
《弥五郎 銭 5貫300文》
<目標 なし>
商品 なし
それから俺は、藤吉郎さんを高台の上にある小屋まで連れていった。
炭100は、やはりちょっとした量である。
「弥五郎。藤吉郎さんひとりで、炭を運ぶのは難しいだろう。お前、手伝ってやったらどうだ」
「うん、そうだね。村には馬もあるし」
父ちゃんに言われて、俺は馬を2頭連れてきた。
で、それぞれの馬に炭の入った黒俵を取り付けたのだ。
炭はけっこうな量だが……が、がんばれ、馬。
「これでよし、と。じゃあ俺、那古野城まで藤吉郎さんを送ってくる」
「弥五郎、ひとりで大丈夫か? 私もついていこうか?」
「大丈夫だよ、伊与。お城まで炭を届けるだけだし、すぐに戻ってくるから」
「そ、そうか。……帰ってきたら、また相撲でも取ろうな」
「ああ」
俺は力強くうなずいた。
すると伊与は、口許に笑みを浮かべて言った。
「……弥五郎。やっぱりお前は、少し変わったよ」
「え……」
「弥五郎は弥五郎だけどな。だけど――ふふ、相撲を取っても、今度はてこずるかもな」
「……かな?」
俺は、ちょっと肩をすくめたが――
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