第二十話 黄金色の誓い

3/8
4675人が本棚に入れています
本棚に追加
/1325ページ
「生きてる。……生きてる! い、生きている! 伊与が……伊与が生きているっ!?」  それは闇の中に灯を見い出したかのような興奮だった。  生きている。とにもかくにも彼女は生きている!! 「だ、だけど、だったらどうしてここにいないんだ。もしかして敵にさらわれて――」 「いや、わしはずっと見ておった。奴らが娘をさらっていくような様子はなかった!」 「じゃあ、じゃあ伊与は、死んでいなくて、敵にも捕まっていなくて」 「きっと逃げたんじゃ。逃げのびたんじゃよう、弥五郎!」  藤吉郎さんは、喜色を満面に浮かべて叫んだ。  つられて俺も、涙をわずかに浮かべつつ笑った。 「は……はは……ははは、そうか、逃げたんだ! 逃げたに違いない。ですよね、藤吉郎さん!」 「そうとも、逃げたんじゃ! わはははは、やった、やったぞ! 伊与は生きておるぞぉっ! やったーっ!! やったぞおーっ!!」  藤吉郎さんは、両手を高々と上に挙げた。  俺も、叫び出したい気分だった。……伊与がどこかで生きてくれている!  その可能性があるだけで、どうしてこんなに涙が流れるんだ! どうしてこんなに嬉しいんだ!! 「……見つけだす。伊与を絶対に見つけだす。見つけ出して、今度こそ必ず守るぞ……!」     
/1325ページ

最初のコメントを投稿しよう!