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「守る。守るか。……そうじゃの。今度こそ守らねば。今度こそのう……!」
藤吉郎さんは、何度も何度もうなずいた。
「弥五郎よ、わしにもやらせてくれ。弱い者が殺されるのは、もう見たくない。わしゃ、今度こそ心から思ったんじゃ。力が欲しい。強くありたい。……のう、弥五郎。わしゃ、出世するぞ。出世して出世して出世しまくって、侍大将となり、こんなことは二度と起こさんようにしてみせるわい。天下に静謐をもたらすために出世し、力をつけるんじゃ! わしはやるぞ、弥五郎!」
藤吉郎さんの眼は光っていた。
その顔、その双眸。まさに偉人と呼ぶにふさわしい。
彼ならば、やり遂げるだろう。いや、実際にできるのだ。
なぜなら彼は、戦国乱世を統一した英雄。――豊臣秀吉なのだから。
だが。……天下に静謐をもたらす。
その事業。人任せにはしない。藤吉郎さんだけにはやらせない。
俺の中に、確かな決意と志と、勇気が湧きあがっていた。
「俺もやります。……一緒にやりますよ」
次の瞬間、俺は。
自分とは思えないほど、強い声音で言い放っていた。
「俺も強くなります、藤吉郎さん! 力を手に入れます! 伊与を守り、シガル衆のような連中をブチのめし、天下を泰平にするために!」
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