第二十話 黄金色の誓い

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「ほほう!? 汝も侍大将を目指すか!?」 「……いいえっ!」  俺は、かぶりを振った。  武士じゃない。俺が泰平のために目指すべき道は、それじゃない。  俺の中に、光り輝く記憶が蘇っていた。だから次の瞬間、俺は吼えた。 「俺の歩むべき道は、金です! ……前に父ちゃんと話したことがあるんです。シガル衆を倒すとしたらどうすればいいか。それには金です。金を稼ぎ、侍を集め、武器を揃える。父ちゃんは、それしかないと言っていました」 「なるほど。だがそれにはきっと、莫大な金がかかるぞ」 「父ちゃんは、5000貫は必要だろうと言っていましたよ」 「5000貫! そりゃ……馬鹿みたいな金額じゃのう! どうやってそんなに稼ぐんじゃ?」 「商売をやります! 俺は父ちゃんのあとを継ぎ、商人になって金を稼いで成り上がる! それが俺の考える強さ、そして俺にだけ歩める道だと思うんです!!」  ささやかな幸せを得られたらそれでいい。そう思っていた。  だがこんな乱世じゃ、そのささやかな幸せさえ、力がなければ守れないんだ。  いや、その本質は未来においても同じかもしれない。強くなければ幸せは守れない。  だから俺は強さを得る。大切なひとを守るため、弱者を虐げる連中を打ち倒すために。     
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