第二十一話 いざ、立志伝

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第二十一話 いざ、立志伝

 墓をすべて立て終えた俺は、それから村中を歩き回った。  商人となるにあたって、なにか使えそうなものはないかと思ったのだ。  すると―― 「これは……父ちゃんの火縄銃?」  家の焼け跡。  焼け焦げた木材の下に、父ちゃんが使っていた火縄銃が残っていた。 「シガル衆。……この銃には気がつかなかったのか? それとも、焼けた木の下だったから取るのをあきらめたのか」  まあ、どっちでもいい。  俺は、焦げた木を注意してどかしたり、運んだりして、落ちていた火縄銃を拾った。  これは父ちゃんの形見だ。……大切に使おう。  さらに、その後。  家の焼け跡からは、やたら汚い入れ物……小さい土鍋? のようなものが見つかり、その中には鉄砲用の鉛玉が7発と、袋に入ったごくわずかな火薬が入っていた。  父ちゃんが使っていたものだろうが、これで少しは鉄砲が撃てる。  もっとも焼け跡から見つけた鉄砲だから、あとで手入れをしないといけないが。  さらに、高台の上にある小屋の焼け跡には、小さな陶器のツボが3つ。  少し焼けた厚手の紙が1枚。革袋が3つ。漆が少々。  その上、村のあちこちに落ちていた炭をかき集めると、20束の炭になった。     
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