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第二十二話 弥五郎、容赦なし
そのときだ。
「待てえ、娘!」
「こらあっ! てめえ!!」
「見つけたぞ、おい!!」
――などと。
刀を持った3人の男たちが、こちらに向かって駆けてきた。
そして一気に女の子を取り囲む。
「ついに捕まえたぞ、このアマぁ!」
お、おい。なにもこんな女の子を、数人がかりで囲まなくても。
どんな事情なんだ?
「ま、待てよ。あんたたち。この子がどうかしたのか?」
「なんだ、おめえは。関係ねえなら、すっこんでろ」
「といっても、なんだか見ちゃいられなくてさ。どうしたんだよ?」
「…………。……この娘むすめはな、うちの村にあった干飯ほしいいを食い逃げしたんだ」
はあ、食い逃げ。
ちなみに干飯とは、炊いたお米を乾燥させたもので、この時代の保存食だ。
そのまま食ってもよし、お湯をかけておかゆ風に食べてもよしの食べ物なのだ。
「軒先のきさきで干しといたモンを、ガツガツむさぼり食いやがって。それでオレたちが見つけたら逃げやがった!」
「違う!」
突如、少女が叫んだ。
って、この子、日本語をしゃべれるのか?
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