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第二十三話 蜂楽屋カンナ
「君は、その。……どうしてこんなところにいるんだ?」
俺としては、なるべく優しく声をかけたつもりだった。
だが彼女は。
そう、金髪の少女は、小刻みに震えながら、思い切り俺を睨んできたのだ。
「あ、あなた、なんであたしを助けたの!? あたしをどうする気なの!?」
「どうって。……どうもしないよ」
「嘘だ! 見世物にする気!? それとも奴隷として売り飛ばす気!?」
「だからそんなこと、しないって」
と、言ってから思った。
この子、見世物や奴隷にされかけたことがあるのか?
確かにこの時期の日本は、悲しいことだが人身売買がけっこう盛んなのだ。
戦のたびに、勝った側が負けた側の女性や子供を誘拐して、そして奴隷としてこき使ったり、あるいは売り飛ばしたり、そういうことをするやつらがゴロゴロいるのだ。武士ですら、それをやるんだ。当然、シガル衆のような野盗集団も行う……。
恐らく彼女もこれまで、危機を何度も経験したに違いない。
だから、俺を警戒しているんだ。……かわいそうに。
俺はさらに、落ち着いた声でゆっくりと言った。
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