第六話 覚醒のとき

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第六話 覚醒のとき

  父ちゃんと村人たちは、シガル衆に追われまくる。  そしてついには、俺たちのいる丘の上までやってきた。 「くそっ、雨さえ降らなければ……!」 「お前さん、大丈夫かい?」 「儂は平気だ。それよりもお前たち、逃げろ。やつらがもうすぐ来るぞ――」 「おい、だめだ。ここはもう囲まれているぞ!」  誰かが叫んだ。まさか、と思って小屋から顔を出し、丘の下に視線を送る。  すると確かに、俺たちのいる高台は、ぐるりと敵に囲まれていた。 「なんであいつら、ここまでくるんだ!? こっちには金目のものなんてないぞ!?」 「決まっているだろう! 女子供をかっさらうためだ!」  村人の誰かが叫び、また別の誰かが叫ぶ。  誘拐。そうだ、戦国時代において、人間が敵にさらわれるのはよくあることなのだ。  そして、さらわれた女子供はどうなるのか――  ……言うまでもない! 考えるだけでおぞましい! 「牛松さん、銃を撃て! ここは小屋の中だ。外が雨でも、ここからなら撃てるだろ!?」 「分かっている! しかし――」  もはや銃弾一発ではどうしようもないほど、戦況は悪化していた。  数十人のシガル衆が、丘の下からじりじりと押し寄せてきている。     
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