第一話 ある中年の孤独死

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第一話 ある中年の孤独死

「うわー……すごいな、こりゃ」  目の前に広がる『ゴミ屋敷』ぶりを見て、俺こと山田俊明は、思わず声をあげた。  日本のどこにでもある、地方都市。  その郊外にある、古びた一戸建ての中である。  屋内は、古本やら古着やら、壺やら茶碗やらお皿やら。  所狭しと物が積み重ねられていて、まさに足の踏み場もない。 「10年ぶりに入るけど……相変わらず叔父さんらしい家だな」  俺がいまいるゴミ屋敷は、父方の叔父、山田剣次の家である。  正確には、家だった、と表現するのが正しいけど。  叔父さんは先月、死んでしまったのだ。  ……孤独死だった。  29歳の俺よりも、20歳年上の、49歳。死因は心臓発作だった。  ネット専門で古物を扱って生計を立てていた叔父さんは、いまから半月前に死亡していたらしい。  だが一人暮らしで友人もおらず、会社員でもなく、結婚もしていなかったため、遺体の発見が遅れてしまった。  その後、唯一の血縁者である俺に連絡がきた。俺は叔父さんの家にやってきて、役所の職員から遺骨を受け取ったあと、遺品整理に乗り出したというわけだ。     
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