第二部 第三十二話 孕石主水との対決

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 戦場かと思うほどの声音。  非常に迫力がある孕石の雄叫びに、俺は多少気圧されつつ―― 「あのう、孕石さん」  おずおずと、声をかけた。 「そのおごうって娘は、松平さんとは無関係ですよ。で、厳密に言うと俺たちともほぼ他人で」 「そうそう。知り合ったばかりじゃし。だから人質としてはまったく価値がありませんで」 「ひでえええええ! 梅五郎! 与助! 女の子が困っているのにそれでもアンタらは男か! 人間か~!」  おごうは縄で縛られたまま、ミノムシみたいにじたばた暴れた。  事態はいよいよ収拾がつかなくなっていく。孕石は無言のまま、なにやら呆然としていたが、やがてはっと我に返り、 「と、とにかく! 松平次郎三郎! 出てこい!! こんな状態になっても屋敷から出てこぬとあっては、おぬしもいよいよ駿府中の笑いものよ! そら、者ども。いっそこのまま笑ってやれい!」  げひゃひゃひゃひゃ!  うひゃうひゃうひゃうひゃ!  孕石家の兵たちが、げらげらと下品に笑う。……だからってわけではないだろうが―― 「お」 「あっ」 「松平の殿様……」  孕石、俺、藤吉郎さんはそれぞれ目を見開いた。  屋敷の中から、「おう!」と言って、家康&石川さんが登場したからだ。     
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