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第十五話 藤吉郎登場
日本中が内戦状態にある戦国時代。
当時の日本政府たる室町幕府は、統治能力を失っている。
そこへ台頭したのが尾張の戦国大名、織田信長で、彼は日本を半ば統一した。
しかし信長は部下に殺される。その信長の後継者となったのが、やはり信長の家来だった豊臣秀吉だ。秀吉は信長のあとを継いで活躍し、ついに日本を完全に統一する。
もっとも秀吉には成人の後継者がいなかったため、その後の日本は徳川家康が手に入れる。家康は江戸幕府を開き、ここに戦国時代は完全終結。江戸時代が始まることになるのだが――
その秀吉が、いま目の前にいる。
いまはまだ、那古野城の織田家に仕える低い身分の小者、藤吉郎として。
同名の別人――とは、とても思えなかった。ほとんど本能的に、俺は察したのだ。
転生者の直感と言っても差し支えない。間違いなく目の前の人物は秀吉なのだ。
秀吉の若いころについて、確たることはなにも分からない。
木綿針商人をやったとか、どじょう売りをやったとか、あれやこれやとさまざまな逸話が伝わっているが、確実な史料から分かる事実はなにもないのだ。
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