哀しい生き物

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 サイコパスは、心に手を当てて考えた。  ……違う。違うかも……  そんな風に思ってたのは、間違いない。確かにそう。  でもそれは……最初だけ。  あの子と接しているうちに、なんだか気持ちが変わってきた気がした。  あの子の笑顔、あの無邪気に喜んでいる笑顔を見ると、最低な考え方しかできない自分が恥ずかしくなった。  綺麗で可愛い姿に酔って、表面しか見えてなかった。  本当のことが見えていなかったことに恥ずかしさを感じた。  それに比べ、あの子は違った。  可愛くないくせに、何もできず不器用なくせに……笑顔だけは眩しかった。  サイコパスは、あの子の眩しさを思い出す。  その眩しさに、嫉妬していたのかもしれない。  それでその子のことが本気で好きになり、いつも一緒にいたのかもしれない。  寄生していた哀しい生き物はあの子じゃなく、自分だったのかもしれない。  サイコパスは、久しぶりに涙を流した。  時が経ち、連絡は取り合っていないけど、またあの子に逢いたい。  逢って、あの眩しい笑顔をこの曇った瞳で見たい。  最低な考え方しかできない自分の心を照らしてもらいたい。  サイコパスは、自分が持っていないものに嫉妬し光を感じた。
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