宙を舞う瞬間、俺は考えたbyフジミヤ

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「やな夢見ちまったぜっ!」  目覚めの悪さを愚痴りながらも、遅刻を回避すべく歩道を爆走する俺。  大きく膨らんで曲がり角を右折した時、 前方10数メートル先にある障害が立ち塞がった。  リーゼントかなんかの変な頭してるデカい不良に、 いかにも大人しそうなやや髪の長い男子生徒が胸ぐらを掴まれているのだ。  カツアゲか八つ当たりか。  どちらにせよ正義感の強い……のもそうだが恐怖心を持たない俺は被害者を守る為、 すれ違いざまに大人しそうな奴の腕をガッチリ掴んで奪い取る。  そのまま爆走を続けた。 「てめっ!」 「あっ!」  しまった、俺の『大事な物』を落としちまった!  だが2つの理由から後戻りは出来ねえ。  遅刻の回避と、被害者の安全確保だ。 『ベコッ』  踏み潰しやがっただと!?  あいつ、俺の『大事な物』をよくも! 「前見て前!」
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