怪電話

　【怪電話】はじわじわとクラス内で、やがて学校中で話題になった。

　隣のクラスのだれそれが学年全員分の名簿を持っていった、同じクラスのだれそれの兄貴が兄弟全員分のクラス連絡網を持っていった等々。
　そしておそらくその名簿や連絡網を用いて、次々に【怪電話】が各家庭にかかってきた。学校側は何度も【怪電話にご注意ください】というプリントを配布し警戒を促した。日々の朝夕の二回のホームルームだけでなく、臨時の全体集会や学級会、さらに道徳の授業時間を使って、子どもらに危険性を説いた。おそらく名簿を売買する業者のよる仕業だということだったが、Yさん含め子どもたちにはいまひとつピンとこなかった。