第1話▲ヒーロー誕生

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正子さん中心のたわいのない会話が流れる中、タクシーは県警の玄関前に到着した。 そこで、私がはとても不思議な現象を目の当たりにする。 今までか弱く震えていただった結川が、凛とした顔立ちで背筋を伸ばしたのだ。 罪を償い、その全てを受け入れようと決心した人の姿だった。 心1つで、人はこうも変われるのだろうか… いや、変われるのだ。 人類の奥深さを感じ、素晴らしいと心から思った瞬間だった。 そして、そんな彼女を見、支えて行きたいとおもっている人が最後のショーを始めた。 「運転手さん、彼女ね…これから罪を償い、その中で真っ直ぐに生きようと決心したの。これから、恐らくテレビで沢山彼女を見ると思うわ。それを聞いて腹立たしく感じる事もあるかもしれない。でも、覚えといて…彼女の今日を。お願いね」 それを聞いた運転手さんは、バックミラー越しにこう言った。 「忘れるもんかい、こんなべっぴんさん。償った後必要なら電話しなっ。駆けつけてちゃんと家まで送ってやるから」 それを聞いた結川は、涙を浮かべながら頭を下げた。 そして、そのままタクシーを降り県警の中へ消えて行った。 その後、思っていた通り…いや、それ以上のパッシングを受ける事となった彼女。 それが償いの1つなのだと発言している記事を見つけた時には、私も正子さんも大喜びした。 そして、例のオバちゃん仮面の手の中で眠りについた澤井誠だが、あの後結川の証言で警察があの家に駆けつけ発見され、今は精神科に入院しているらしいのだ。 正子さんに、その時の事を聞くとこんな答えが返ってきた。 「あぁ、あのおっさん?頭叩きながら、赤ん坊になりなさいって念じただけよ」と。 どんな状態になったかは、皆様にも想像がつくと思います。 恐らく正子さんは、赤ん坊からやり直しなさい…と、言いたかったのでしょう。 そして、この事件のもう1人の罪人を、あなたは覚えてるいるだろうか。 結川を送った後、その罪人を見極めに行ったのだけれど…そこから、思いもよらない状況へと陥ってしまう事となる。 その話は次の機会に。 1話▲ヒーロー誕生 終
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