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電車を降りた後の丸い女性は、電車内の姿よりも数倍輝いていた。
電車内で駅へ連絡を入れ、降りた時には警察が待機した万全の体制を作り上げていた青年達の頭を、我が子のように撫でながら褒め称えたり、被害者の女性に言葉を掛け勇気付けたり、警察に素早く要点を伝え電話番号を書いた紙を渡したりと、まるで解き放たれたベイゴマが、勢い良くどんぶりの中を踊り回るかの様に、その丸い女性は狭いホーム内を走り回っていたのだ。
同種の人間達は、この状態を輝いているとは表現しないのかもしれない。
逆に、落ち着きのないお節介おばさんだなぁと思い、苦笑いをする状態なのかもしれない。
だが、私は違う!
私には、その丸い女性は白く輝き、天使の羽を付けている様に見えるのだ。
そして、私は呟いた。
「おぉ…天使よ…」
天使という言葉に多少抵抗はあるが、細かい事な気にせず、私は彼女の姿を追い続けた。
その後、ナイスな青年達にキヨスクのお茶を御馳走した彼女は、電車に乗って颯爽とその場を去るのだが、別れ際に青年達が言った「師匠」と言う言葉には、流石の私も耐えきれず吹き出してしまった。
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