第1話▲ヒーロー誕生

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家に到着した彼女は、早速買ってきた衣料を紙袋から出し、再確認し始めた。 しめしめだ。 彼女が店を出る前に、″あれ″を紙袋の中に忍ばせてあったのだが、いよいよ彼女が手に取り試すチャンスがやって来たのだ。 一枚ずつ袋から出し、ハサミでタグを切り取る彼女。タグを切った後、綺麗にたたみ重ねて行く。意外と几帳面だ。 そして、とうとう″あれ″の番。 それを手に取った彼女は、「えっ?」と言いながら首を傾げる。当たり前の行動だ、自ら購入した物では無いのだから。 どんな行動をとろうと、彼女が″あれ″を手に取ってくれたらこっちのもんだ。 私は、すかさず声を掛けた。 「愛田正子さんですね?」 「グヘッ!」 いったい何処から出た声なんだ… 驚いた彼女は、手に持ったそれを投げ捨てた。 いやいや、困るよ正子さん。身体に触れていないと私の声は聞こえないんですよ。さあ、早くそれを手に取って…さあ…さあ 私の願いが通じたのか、恐る恐る床に落ちたそれを拾い上げる正子さん。 そして、再び私は声を掛けた。 「それを離さないで下さい!離すと私の声が聞こえませんから」 「えっ!あんた誰よ。何処に居るのよ」 こんな突拍子の無い場面でも、冷静に対応する正子さんに、私は心から感謝した。 「ご理解感謝します。私は、サブミリ波種族の者です。何処に居るかと言われますと…空気中に存在しているとしか言いようが無いのですが…」 「空気中?この家の中の?」 「はい、そうです。人間の目では確認出来ない存在なのです」 「で?そのサブ何とかって種族が、私に何の用があるのかしら?用があるから、話しかけて来てるんでしょ?」 「さすが御察しが良い。では、単刀直入に申し上げます。正子さん、あなたに地球を救って頂きたいのです」
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