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「さあ、重里さん…そろそろ行きますよ」
「了解した。車かね?電車かね?」
「何行ってるの、飛ぶに決まってるでしょ」
「えっ…まっまた飛ぶのか!」
重里の緩んでいた身体に、再び力が入る。
そして、恐怖に慄く自分の顔をどうかみてくれと言わんばかりに、身を乗り出しオバちゃん仮面を見つめた。
そんな重里の姿に目もくれないオバちゃん仮面。
「はぁ…」
諦めた重里は、大きく溜息をつき、渾身の力を込めて言葉を発した。
「最後の頼みだ…聞いてくれるか!」
「良いわよ。言ってみて」
「私の気を失わせてから、運んでくれないか」
「断る」
「えっ…あっ?…ぬぉおぉぉぉぉっ!」
あっという間に、2人は飛んで行ってしまった。
2人のやり取りの余韻が、置いてけぼりをくった私に残る。
そして、その残った嵐の様な余韻は、私を大爆笑の渦へと引き込んで行った。
3話▲桜と水車 終
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