仕事の後は...

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仕事の後は...

月の無い暗い夜 草木も眠る丑三つ時。かつてこの時間には人々は暖かい屋根の下で安らかな眠りにつき、希望に満ちた明日を待ちながら楽しげな夢を見ていた。 そして人気のなくなった市街に 路地裏に 荒野に 空に 海に 魑魅魍魎が我が物顔で跋扈した。 人とアクマ 同じ世界の裏表に存在し 決して交わる事のなかった2つ。 しかし時が過ぎ夜の街はまるで太陽など不要だと言わんばかりに人工の光が溢れ 安らかで清らで慎ましく宝石の様に輝いていた人々の心は 発展のための努力と 飽くなき豊かさへの飢餓により 人はドロドロとした欲望の汚泥に自らの手で心の宝玉を投げ落した。 そして夜の世界が照らし出されたために行き場を失ったアクマ達が次の住処に選んだのは 宝石の輝きを失い どこまでも深く かつての夜より暗い人の心。 そこはアクマ達の楽園だった。アクマを討ち名を上げようとする者もいなければ 内から甘い言葉を囁けば簡単にその闇を深くする。 闇に呑まれた漆黒の心の宝石はアクマ達にとってはあらゆる美酒 美食 美女に勝る垂涎のお宝。 そのお宝をより一層どす黒く染め上げるために今日もアクマ達は人の心に甘く強く囁く! 「もっと... もっと! もっと!! もっと!!! もっとだっ!!!!」 強い光はまた深い闇を生み出す。 人工の光が届かぬ社会の裏で 畜生に堕ちた「アクマツキ」達が蠢き出す。
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