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理沙は、広い畳の部屋を囲むように並べられた座布団のひとつに、恐る恐る座ってみた。美月を膝に抱いたまま待っていると、次第に子連れの母親たちが集まり始めた。
「おはようございまーす」
「あー、久しぶりー。大きくなったねえ」
「いやー、早起きするの久しぶりやし疲れたわー」
口ぐちに話しながら母親たちが入ってくると、途端に場はにぎやかになった。座布団の輪の真ん中に子ども用のおもちゃがたくさん並べられると、子どもたちはわっとそこに群がった。しかし美月は、興味はあるものの近づく勇気はまだ出ないようで、理沙の膝の上から動こうとしない。私に似たのかな、とおしゃべりしている集団を横目で見ながら理沙はため息をついた。
「ここ、いいですか?」
おとなしそうな母親が声をかけてきた。大きめの赤ちゃんを抱っこしている。青い服を着ているところから見ると、男の子らしい。
「あ、どうぞ」
「私、ここに来るの初めてなんです」
「あ、私もです」
「よかったー」
「赤ちゃん、何か月ですか?」
「8か月です」
そう言いながら、母親は赤ちゃんを降ろした。途端に赤ちゃんはすごい早さでハイハイしながらおもちゃに向かっていく。
「元気ですね ー」
「もう、ハイ ハイするようになってから毎日が大変ですよー。おじょうさん、何か月ですか?」
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