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「1歳なんですけど、人見知り、場所見知りで。初めての場所だと最初はずっとこうで」
理沙が少し情けない気分で答えると、男の子の母親は言った。
「すごく慎重なんですね。女の子だし、それくらいの方が安心かも」
理沙ははっとした。今まで、美月の人見知りを欠点としか捉えていなかったのに。「慎重」だなんて、そういう考え方もあるのか。
「あー、理沙ちゃんや、おはよー。来てくれたんやー」
入口から大きな声で呼ばれた。香だった。
「待ってるで、とか言っといて遅くなってごめーん」
にぎやかに話しながら、香は理沙の隣に座った。みきも一緒だ。
「おはようございます」
「こちらは?初めましてやんな」
「あ、こちらは」
そういえば名前を聞いていなかった。
「初めまして、美樹です」
「美樹さん?うちの下のんと同じ名前やな!香です、よろしくー」
「よろしくお願いします」
気さくな香に、戸惑っていた美樹もすぐに打ち解けたようだった。理沙は聞いた。
「今日は、ゆきちゃんは?」
「ゆきは幼稚園。ゆきがおらんとみきと二人だけで暇してるから、サークルの日が楽しみで楽しみで」
「ゆきちゃんって?」
美樹が聞いたので、香の代わりに理沙が答えた。
「みきちゃんのおねえちゃん。5歳で、すっごくしっかりしてるんです。昨日公園で会って」
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