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「みづき、ゆきちゃんしゅき」
ここで美月が初めてしゃべった。香がうれしそうに美月に話しかけた。
「おー、美月ちゃんありがとう。今日はママに抱っこされてどうしたん、おもちゃで遊ばへんの」
「人見知りと場所見知りで…」
「そっかそっか。みき、美月ちゃんと一緒に遊んだら」
香が声をかけると、みきが美月にくまのぬいぐるみを持ってきた。美月はおずおずと受け取るが、まだ理沙の膝から降りようとはしない。
「まあまあ、そのうち遊びたくなるよ」
「そうですかねー」
しばらくおしゃべりしていると、理沙が最初に会った人の好さそうなおばさんが手を打って合図をした。時計を見ると、10時を過ぎていた。
「はいはい、じゃあそろそろ始めましょうか。まず自己紹介してもらいましょうね」
じ、自己紹介?突然のことに理沙がおろおろしていると、おばさんが香を指差した。
「じゃあベテランの東野さんからどうぞ」
「えー、もう、しゃあないなあー」
笑いながら香が手を挙げる。
「東野香です。あそこで遊んでるのが娘のみきです。1歳です。5歳の上の子が3か月の頃からここに遊びに来てます。よろしくお願いしまーす」
「お願いしまーす」
香は顔見知りが多いようで、みんなにこやかに話を聞いている。
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