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「こらこら」
中川委員が近づいてきた。
「ただ集まっておしゃべりして終わりて。まあそうやけど」
「そうなんかい!」
「一応育児相談とかもやってますからね、気になることや悩んでることがあったら何でも聞いて。あと、希望者は体重測定もやってるから」
中川委員が部屋の後方を指差すと、スタッフらしい若い女性が子ども用の体重計を用意していた。オムツだけになった子どもが、体重を測ってもらおうと待っているのがほほえましい。
「母子手帳を持ってきたら書き込んでくれるからね」
「そうなんですね!じゃあ次から持って来よう」
美樹が目を輝かせた。
…それから1時間半。
ようやく場に慣れた美月は理沙から離れておもちゃで遊び始め、理沙は香や美樹とおしゃべりをして過ごした。内容は近所の小児科や歯科医などの情報交換、スーパーや商店街のお得なネタ、そしてもちろん夫の愚痴など。
「また来月も来てなー」
最後までにこにこの中川委員に見送られ、
「また公園でなー」
香や美樹と連絡先の交換もして、理沙はうきうきした気分で家に向かった。大勢の母親や子どもたちと触れ合えて、おしゃべりして、久しぶりに心が晴れ晴れとしていた。美月も興奮して疲れたのか、ベビーカーに揺られているうちに眠ってしまった。
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