3 粉浜商店街にて。

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 薬局のおじさんなどは「じゃあこれやるからがんばりや」と美月にシールまで持たせてくれた。おかげで美月はすっかりご機嫌になって、病院に着いた頃には 「みづき、ばんがる!」 と、力強く宣言した。理沙はそんな美月を連れて、今までになく軽い気持ちで病院に入っていった。  それから、約1時間後。 「みづき、なかなかったよ」 「そうだね、頑張ったね」  シールのおかげか、評判通り先生が優しかったおかげか、初めて予防接種で泣かずに済んだ美月は、うれしそうにベビーカーで鼻歌を歌っている。粉浜商店街を通って帰る途中、惣菜屋のおいしそうなコロッケが目に付いた。3つで110円。安い。 「コロッケ3つください」 「はーい、ありがとう。1つおまけしとくわ」  どんだけ安いんだ。理沙はあきれながらも、うれしくなってお礼を言った。 「ありがとうございます」  帰宅して、コロッケを皿に並べて付け合せのキャベツを刻んでいたら、弘樹が帰ってきた。 「ただいま」 「おかえりー。早かったね、珍しい」 「そんなん言わんといてーや。これおみやげ」 「え、なに?」  受け取ったのは、住吉大社駅の近くの洋食屋の袋だった。中身は名物の玉子コロッケが3つ。 「あ、このお店知ってる!有名だけど、食べたことなかったね」
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