3 粉浜商店街にて。

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「そやった?おいしいで。あ、」 テーブルの上のコロッケを見た弘樹が、しまった、という顔をした。 「コロッケ、かぶってもーたな」 「これはね、商店街のお惣菜屋さんの。なんとこれで110円だよ。すごくない?」 「やすっ!」 「ぱぱ、ぱぱ、みづきね、みづきね、ちゅーしゃ、なかなかったよ」  弘樹にまとわりつきながら、美月が得意げに報告する。  平日の夜がこんなに和やかなのは、もしかしたら美月が生まれてから初めてかもしれない。  そんなことを思いながら、理沙は弘樹が買ってきた玉子コロッケをお皿に追加して、再びキャベツを刻み始めた。
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