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「2人目かあ…まだまだ考えられませんけどねー」
2人が盛り上がっているところに、みきが走ってきた。
「ママみてみて、どんぐりひろった」
「おー、よかったなー」
そのとき、サッカーボールが飛んできて、みきに当たりそうになった。
「危ない!」
理沙が咄嗟に声を上げると同時に、小学校高学年くらいの男子が走ってきてボールをキャッチした。
「ちょっと、あぶ…」
「すみませんでした!」
香が怒鳴りつける暇もなく、男子は深々と頭を下げると、
「ちょ、ここちっちゃい子がおるからあっち行こうや」
と4、5人の仲間に声をかけ、さっさと移動して行った。
「…なかなかできた少年たちですね」
と、理沙が変な感想を漏らすと、
「そやなあ。このへんの子は見た目はヤンキーっぽいけど、結構優しい子が多いねん。多分、小さい弟や妹の面倒見慣れてるんやろな。下町やし、親が働いてる子も多いから」
香が説明した。
「そういえば、この前…」
と、理沙が商店街での話をすると、香は笑いながら言った。
「あたしも妊婦の頃からしょっちゅう話しかけられてたわ。みんな人懐っこいというか、なれなれしいというか、おせっかいなんやな。でも悪気はないねんで」
「そうですよね…」
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