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普段は人見知りする性分の理沙だが、香の軽妙なしゃべりにつられて、ついついおしゃべりになっていた。
「今日は、理沙さんとこのダンナさんは?お仕事?」
「あ、家で…多分寝てます」
「そうなんや、うちもうちも。平日夜遅いからさあ、休みくらいゆっくりさせろオーラ出してくんねん。で、こっちもそれが腹立つから子どもと出かけることにしてんねん」
「そうなんですか?」
「そやで」
「今日みたいな日曜日に公園に来ると、パパと来てる子が多いじゃないですか。いいダンナさんでうらやましいなーって」
理沙の口から、つい本音が出る。香も大きくうなずく。
「わかるわかる。あたしも前はそれがイヤで、無理やりダンナに『たまには公園連れてったってー』って言うててん。でも、イヤイヤ行かれても結局子どもも楽しくないし、お互いイヤな気分になるだけやん?だからそこはもう諦めることにしてん」
あっけらかんと言い放つ香に、理沙はあぜんとした。
「諦める…?」
「諦めるっていうとネガティブやな、受け入れるっていうの?どうせこっちも欠点だらけの母親やし、父親に欠点があるのもしゃーないかなって。外でがんばって働いてくれてるだけありがたいわ。ってそれ普通やけどな!」
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