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翌日の月曜日、理沙はいつもより早めに起きて家事を済ませ、久しぶりにきちんとメイクをした。美月にも可愛い服を選び、荷物を用意して、9時半には家を出た。美月が生まれてから、こんなに計画的に2人で出かけるのは初めてかもしれない。緊張しながらも、理沙は少しわくわくしていた。
ベビーカーを押しながら目的の建物に到着したのは9時40分。少し早すぎたかな、と思いながら、理沙は建物に貼ってあった赤ちゃんサークルのチラシを確認し、エレベーターで3階まで行った。すると、がらんとした空間には誰もいなかったので、一瞬途方に暮れた。
「赤ちゃんサークルのひと?早いねえ。ちょっと待っといてな、すぐ開けるから」
声をかけられて理沙が振り返ると、人の好さそうなおばさんがにこにこと立っていた。おばさんは鍵を開けながら、
「初めて?あ、ベビーカーはそこに置いといて」
「あ、はい」
言われた場所にベビーカーを置き、美月を降ろす。美月も初めての場所で緊張しているのか、黙って理沙にしがみついている。
「さ、どうぞ。靴は脱いでな」
扉の向こうには畳敷きの部屋が広がっていた。言われるままに靴を脱ぎ、出されたノートに名前と住所を書いて、四角い白いシールに自分と美月の名前と月齢を書いて胸に貼る。名札代わりらしい。
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