白線を越えたら君の横

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その次の日あいつが飛び降りたと聞いた。 はじめは何を言っているのか分からなかった。あいつが、死んだ?飛び降りた…?そんなことする奴じゃないだろあいつは。混乱する俺に渡されたのは一枚の白い封筒だった。 -俺が飛び降りたと聞いて今頃、お前は混乱しているんだろうな。ごめんな昨日お前に振られてその直後に死ぬなんておかしいよな。失恋ごときで俺は死ぬような奴じゃない、ってそう思ってるよな。俺もそう思ってた。けど実際はお前に振られて自分でもビックリするぐらい動揺した。多分、お前が昨日言ったのは嘘だろうって、本気じゃないってわかってるよ。何年一緒に居ると思ってるんだよ(これで自意識過剰だったら恥ずかしいな)それでも俺は悲しかった。お前にそんな嘘を言わせてしまうこんな世界に失望したし、お前に言われたことにショックを受ける自分自身にも。多分、今死んだらお前は死ぬほど悲しむんだろうなって思うよ。けどそれと同時に俺のこともきっと忘れないでいてくれるんだろうなってそう思ってしまったんだ。アホらしいよな。けどそう思ってしまったんだ。こんな馬鹿なことをする俺のことを恨んでくれ。そうしていつまでも忘れないで。いつまでもお前の中で消えない傷や瘡蓋みたいな小さなもので構わないから。 お前のことが死んでも好きな頑固者より- 読み終わった瞬間涙が止まらなかった。なんて馬鹿なことをしてくれたんだ。けどあいつの思惑通り俺はあいつのことが忘れられない。一つだけ違うことがあるとすれば、小さな傷なんかではなく致命傷だということだった。 流れる人々を見ながらもういいだろうかと思った。 こんなにも多くの人がいたって俺の欲する唯一はもういない。どれだけ渇望したって会えないのだ。もういいよな。白い封筒を胸ポケットにしまい込んで、一歩踏み込む。自分ばっかりだと思うよな。俺だってお前のことが死ぬほど恋しいんだから。白線を飛び越えたらお前の元へ行けるだろうか。落ちる刹那お前の声が聴こえる気がした
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