白線を越えたら君の横

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朝、目が覚めるとつい隣にあったはずの体温を探してしまう。その度に失われた温もりに失望して"死にたい"という四文字が頭を掠めるのだ 眩しい日射しに目を細め瞼を開けると真白い天井が映る。微かに聴こえる鼻歌に芳ばしい匂い、そして隣の生暖かさを確認してこれは夢だと気づく。それでももう一度あいつの姿が見たくて慌てて布団を抜け出した。リビングに顔を出すとあの時と変わらない笑顔でおはようと声を掛けられる。もしかしたら姿は見えないかもしれないと危惧していた俺は呆気に取られながら挨拶を返す。そんな俺を笑いながらあいつは焼いたトーストと目玉焼き、そしてサラダを並べ目の前に腰を下ろした。小さく手を合わせ食事をはじめるその姿があまりにあの頃と重なるものだから思わず目が潤んだ。そんな俺に驚くあいつを見て小さく「ごめん」と呟いた。 ジリリリと鳴り響く目覚ましに叩き起こされて現実に引き戻される。頬に手を当てると涙が伝ったのか濡れていてその事実にまた少し泣いた。
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